社会福祉法人
滝乃川学園 様
※ネットワーク/記録ソフト/見守り/グループウェア
常務理事
高瀬祐二さん
施設長などを歴任し、働き方改革(離職率のダウン)や新事業の誕生を実現。
趣味は自分で毛針から作ってこだわるフライフィッシング。
経営企画本部
糸永健太さん
“構想から楽しい”DIYが趣味。PC周りの諸事から設備の修理・害虫対応まで
「色々な仕事を通して、学べることが本当に多いです」。
ICT化を進める目的やきっかけは?
高瀬: 15年くらい前から、記録ソフトを使ってPCに入力する運用がスタートしました。このため施設内にPCが100台ほどあり、自前のサーバも4台となり管理が大変で、専門のスタッフがいないため負担が大きいです。この際、ICTに関連する全てを見直し、将来的に業務が簡便になるスタイルを目指そうと考えて、ビーブリッドにサポートを依頼しました。
糸永:一番大変だったのが、トラブルの対応です。ネットワークやPCの不具合は、システムが複雑になればなるほど原因がわからないという事態になって業者さんに相談しながらやっていましたが、即時解決できないのが悩みでした。
Wi-Fi整備が今年はじめの工事から始動したという事ですが、無線化によってどのような効果が期待されますか?
高瀬:記録・グループウェア・見守りといったシステムをPCからスマホ・タブレットに変えるためには、Wi-Fi整備が大前提です。広い施設の中で事業が分散し、様々なシステムやネットワークが混在してすごい有線の数になっています。セキュリティ面など有線にも長所はあり、残すところもありますが、無線化できるところはしないと今後が厳しいと思います。
ICT活用について、障がい者施設ならではの観点とは?
高瀬:高齢者介護と障がいの違いは、支援の領域が広いという事です。知的・発達障がい分野は幼児から壮年・高齢者まであらゆる年代の方々が生きていく、生活していくために密着して支援します。障害特性も様々で、このために大切なのが記録を残して活用・共有する事ですが、PC経由だと順番待ちになる時もあり非効率です。滝乃川学園は20~30代の職員も多く、彼らはメッセージアプリで手早く情報共有しています。全職員がスマートフォンなど色々なデバイスを使えるようになると、行動などの動画をシェアするのも容易になりますので、業務省力化の効果があると期待できます。
ビーブリッドに依頼された理由は?
高瀬:私が東京都社会福祉協議会で障害者支援施設分科会の代表幹事をしていた頃、関連のある法人にICTの状況を聞いた時にビーブリッドの名前が出て、事業者向けの研修で竹下社長を講師に招いたのが出会いです。介護・福祉中心のICTサポートという事で、ぜひ障がいの事業者にも話をして欲しいとお願いしました。障がいで介護のシステムを使う場合、メーカーに聞くと「使えるかどうかはわからないが、こういう物があるけれどもどうか」という話になります。障がいではそこからアップデートしないと実際には利用できないので、「今ある物をどう活用して効率化するか」一緒に考えてくれるビーブリッドにサポートをお願いする事になりました。
ICTの導入・活用について、職員の方々に抵抗感はありませんか?
糸永:やはり多少の温度差はあります。ICT化についてアンケートを取ると、20~30代の職員からは「早くやって欲しい」「PC入力はもうやめて下さい」という声が上がります。スケジュール・申し送りが事務所のPCでないと見られないのも「いつまでこんな事をやっているのか」と。紙ベースの記録類も全体的に「変えて行こう」という雰囲気になっていて、特に反対意見はありませんが、オペレーションが大きく変わる事に抵抗感がある人もいると感じます。特に記録ソフト等、日々使い慣れている既存のシステムは「なるべく変えないで欲しい」と言う声がありますし、例えばWindowsアップデート等の細かいPC作業の周知をしても「私たちの仕事なの?」という空気感があり、今後の改革に皆が馴染むまでは大変だと思います。
高瀬:使う側にどう慣れてもらえるかは課題です。「とにかく前進し職員が使いこなす段階に持って行かないと」と考えていた一方で、それらを計画段階から自力で進める事は簡単ではなく、ビーブリッドと計画を作って中~長期的なスケジュールを組み、センサー・記録ソフトの具体的な導入から進めようと考えています。ただ、コロナ禍で社会情勢的に製品のデモが延期になったりと、なかなか思うようには進みません。
ICTプロジェクトを進める中で変化した事があれば教えてください。
高瀬:まず、最初にビーブリッドの提案でノートPC導入やWi-Fi環境の簡易的な整備を実施しました。その結果Zoomが導入されて会議・研修が格段に便利になり、定例で行えています。ハイブリッド形式(集合型と分散型を一緒に)もできるようになって感謝しています。
今後の障がい者施設の運営を考えた時に、ICTは重要と考えますか?
高瀬:最重要課題です。支援が難しい「行動障がい」にどう対応して、どんな結果が出たかの情報共有が、いまSNSを使って色々なところで試験的に行われています。数少ない症例に対して全国規模で情報を集めて共有する事が、初めてできるようになりました。障がい特性は様々で診断名も無数にある中で、それに伴う情報共有ができていない事がこれまで問題でした。医療は進んでいるのに支援現場が共有できておらず、活かせない現状があります。情報共有が進めば、支援がうまくマッチングしていない人も結果が出やすくなる事が期待できます。一生抱えなければならない障害特性の共有は、ICTしかできないと思っています。
障がい者施設のご利用者の高齢化が進んでいると聞きましたが、ICT化は有効ですか?
高瀬:転倒骨折や誤嚥性肺炎など、高齢化に伴う事故が頻発するようになりました。夜間の起床やてんかん発作や体調の急変は発見は早い方がいいのですが、頻回に部屋に入るのも入居者の睡眠の妨げになります。バイタルの変化がデータやセンサーで具体的にわかれば、職員の労力が軽減するのではないかと考えています。
ICT活用が人材確保に役立つ事はありますか?
高瀬:障がい施設は人権に配慮するための専門知識が必要なので、人材育成がカギです。ベテランが多いと仕事の安定感が違うため、安全で確かな支援のために養成をしっかりして、そしてなるべく長く働いていただきたいと思っています。人材の流出を防ぐため働き方改革に取り組んでいますが、育休から戻って保育園や学童に幼い子どもを預けているお母さん達は、バランスが取れているという点で優等生です。彼女たちは時間内にキッチリ働いてパッと帰る、時間を無駄に使いません。こういう働き方にICT化はマッチしていると思いますので、今後もICT活用を進めて、皆が働きやすい職場作りを目指します。
ビーブリッドのICTコンサルティングに、今後はどのような期待をされていますか?
高瀬:販売ノルマ等が関わってこない独立系コンサルタントの強みを活かして、確かな情報を届けて欲しいというのが希望です。こういうものが欲しい、ここを変えられたら等、工夫して現場に合ったものにしていく構築を期待しています。
糸永:ICT化が進むと、トラブルも発生してくると思います。スピード解決をはかるため、いずれビーブリッドのICTヘルプデスク〈ほむさぽ〉導入も視野に入れています。
※掲載された情報は、2022年2月現在のものです。
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